課題についての解答案(コンセプト)の中から代表的なものを紹介します。
利用者の人数からすると採算面で心配な案もありますが、学外からの利用も期待します。
売店のイメージを一新できるいいアイデアも多数ありました。おかずだけの弁当や学生スタッフの採用は、学生ならではのアイデアです。学生のヘルシー志向が意外に強まっていることがわかります。
※ファサードのデザイン案は次回取り上げます。
現在の売店は狭い割に売られている飲物は大学内にある自動販売機と同じで、パンはいつも同じもので種類も少ない。日替わりのカレーや丼物はすぐに足りなくなる。ならば、お弁当や丼物は学食で販売し、売店ではパンをメインにカフェのような空間すればいいのではないかと考えた。
また、現在は空前のカフェブームでもあり、私立大学にもスターバックスやドトールコーヒーといったカフェを大学内に導入するところが増えている。T駅前のマクドナルドが新しくカフェになったが、ドリンクをテイクアウトし大学で飲むという学生も多い。そこで、今回私が提案するのはT大学オリジナルカフェである。
モダンイメージの落ち着いていてかつ洗練された空間は清潔感もあり、誰もが好感を持てる。 居心地の良さも保ちつつ、食品を販売するにふさわしい雰囲気を。
現在の売店は、お菓子・飲み物・パンがメインとなっている。昼ごはんになるメニューがパン、おにぎり、丼ぶり、カレーと少ない。学生の小腹を満たすには十分かもしれないが、学食に行列が出来ていることや、別館の学生ホールのお弁当が売り切れてしまうことから昼ごはんになるメニューに需要があることが言える。
また、Tキャンパスは女性が多いため、現在売店にある丼もののメニューよりヘルシーなメニューも求められるといえる。また、売っているものが軽食メインということもあり、傾向としてパンやおにぎりカップめんを昼食としている学生も見かける。このような食事は栄養面からみてもバランスが悪い食習慣は好ましくないと考えられる。
学生ホールにヘルシー&ボリューミーな「和食のお弁当やさん」を提案する。扱うメニューはヘルシーなものをメインとするが、たくさん食べたい、という男子学生のために量としては多めでリーズナブルな食事を提供する。(その分、学生アルバイトを多用して、人件費を削減する)
野菜を中心にバランスのとれた食事を整列・回遊性のあるブュッフェ形式で
私が現存の売店で気になっている点が、回遊性のないこと・商品の陳列がわかりにくいこと・列が散散になっていることの3点である。
そこでまず提案したいのが、ブッフェ形式の導入である。商品はどれも客に見やすく、おいしそうに並んでいる市場のような陳列・自分の食べたいものを列に並びながら選ぶブュッフェ。この二つを取り入れ融合させることで上記のような不満は緩和せれるのではないかと考えた。
店内はコの字型のようにブュッフェ台を設け、店の中心には冷蔵ショーケースを設けそこには飲み物やスープのような汁物をそのまま手に取りテイクアウトできるように設置する。ブュッフェ台の上にはおすすめメニューの黒板や標識のようなもので下の台には何があるか、視覚的にもわかりやすいようにする。
店内のイメージはあくまでナチュラル。市場のような色鮮やかなものは販売する商品がその役を担ってくれるし、にぎやかさは学生が集う活気で充分であると思うからだ。朝方や間食事の落ち着いている時間帯にもなじむようにナチュラルというイメージは重要である。
作者プロフィール
河村容治(かわむらようじ)
元東京都市大学 都市生活学部教授 博士(美術)、一級建築士、日本インテリア学会理事 CAD/CGによるインテリアデザイン教育に力を注ぐ
主な著書
「インテリアデザイナーNeoによる 一歩先行くインテリアプレゼンテーションテクニック」(共著・メガソフト)/「3DマイホームデザイナーPROで学ぶインテリアコーディネートトレーニングブック」(BNN)/「3Dインテリアデザイナーによるインテリアコーディネート入門」(技術評論社)など多数