施工中のエピソードを紹介します。
工事に入る前にクライアントに説明します。
ダウンロードした素材画像を、縦横比同じサイズに調整してから貼り付け、並べたときに揃うようにしました。印刷により色のイメージが違う場合もあるので、サンプルと併せて確認をしてもらいました。
工事を始めるにあたって、解体する範囲を施工者と現場で直接確認します。解体工事に立ち合う場合は、ほこりや粉塵が出るので、防塵マスクを用意する必要があります。
リフォーム工事では下地がどうなっているか、解体してみないとわからない場合が多いです。不測の事態に備えて取り決めをしておく必要があります。今回は、壁も天井もすべて木軸で下地が組まれていました。幸い天井裏にダクトなどはなく、和室の天井高を高くするという計画に支障はありませんでした。
クライアントの家具を現場に置いたままで工事を行うので、傷つけないように特に注意しましたが、一部の職人に十分伝わっておらず、クライアントから注意を受けました。
現場は職人にとっては数ある仕事場の一つですが、クライアントにとっては大切な唯一のよりどころであることを忘れがちです。もっと徹底すべきだったと反省しました。
和室とリビングの間の壁を解体
壁が取りさられた状況
新しい案に基づいて下地や建具の枠を制作します。
下地のないところには手すりなどが取り付けられませんので、仕上げ工事で下地が隠れてしまう前に記録を残しておきます。
木工事と設備工事は連携が重要
同じ集合住宅内で水漏れ事故が多く発生しているため、マンション管理組合よりリフォーム工事の際は、給水給湯の配管はすべて交換してほしいとの要望がありました。
この工事ではすべての配管を交換し、記録として写真を残すようにしました。
床下既存配管状況
床下配管施工後
ユニットバス既存配管状況
ユニットバス配管施工後
マンションの規約により、床仕上げをフローリングに変更する場合は、着工の前に、上下左右斜めの住戸に了解を得る必要がありました。クライアントが日頃から近所付き合いが良好でしたので、特に問題はありませんでした。
リビングの床は直張りのため、遮音性能 LL-45 のフローリング材を使用しました。直貼りでは釘等は使用せず接着剤で施工します。
部屋の端に中途半端に細い材料が出ないように、割り付けには特に注意します。張り方は「乱尺張り」よりもここで使用するフローリングが石目調のため、目地を通すように「りゃんこ張り」で張ることにしました。
仕上がった床を工事で傷つけないために竣工直前まで、養生することが必要です。
接着剤を床に付けたところ
床材を一枚ずつ張り付けていきます
接着材:右下にフォースター(※)の表示が見えます
乱尺張りとりゃんこ張り
(※) フォースター( F☆☆☆☆)とは、シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドの放散量性能を表し、最も優良な規格です。
キッチンは今回工事の主要部分です。通路幅が不足気味なので、システムキッチンの壁のフカシを最低限に抑えましたが、現状では75cmで幅が十分とはいえません。
できれば、90~105cmほしいところです。例えば、大型の冷蔵庫の搬入時には、冷蔵庫の扉を取り外してやっと入れることができました。
システムキッチンの組み立て
背面の収納は奥行きが浅いタイプを採用
クロス貼りは、まず下地をパテで調整してから行います。のり付けする機械は大型のためスペースを必要とします。
リフォームの場合、既存のクロスを剥がしてからの作業になります。クロス張りはほこりを嫌うので、剥がしたクロスや下地材が散らばるので、作業に入る前にきれいに清掃する必要があります。
またクロスの張り替えのみの部屋は、他の部分や家具を養生する必要があります。
クロスののり付け機
タイルの割付は壁の上端や側端のようによく視線がいく場所を基準に行いました。
床でタイルの割り付けを確認
仕上がり状況
作者プロフィール
河村容治(かわむらようじ)
元東京都市大学 都市生活学部教授 博士(美術)、一級建築士、日本インテリア学会理事 CAD/CGによるインテリアデザイン教育に力を注ぐ
主な著書
「インテリアデザイナーNeoによる 一歩先行くインテリアプレゼンテーションテクニック」(共著・メガソフト)/「3DマイホームデザイナーPROで学ぶインテリアコーディネートトレーニングブック」(BNN)/「3Dインテリアデザイナーによるインテリアコーディネート入門」(技術評論社)など多数