第15回 北側斜線 ~基本編~
北側斜線制限とは
- 北側の隣人の日当たりを考慮し、南からの日照の確保のために建築物の高さを規制したルールのこと。
- 北側隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=北側斜線)の範囲内で建築物を建てる。
- 真北方向に対して算定する。
- 良好な住居の環境を保護するためのルールなので、第1種・第2種低層住居専用地域及び第1種・第2種中高層住居専用地域に、北側斜線制限が適用される。
北側のお隣さんの日照を考慮しようね。
まずは「真北」について知ろう!
「東西南北」の「北」ぐらいは知ってるよ。
北と言っても、方位には、真北(しんぼく)と磁北(じほく)の2つがあるんだよ。
建築図面の端に記されている方位記号に数字の4に似た形を見たことがないかな?
長い縦棒は「磁北」、短い縦棒は「真北」を表しているよ。
「磁北」は方位磁石のN極が指す方向。「真北」は北極点の方向(地球が自転する回転軸の部分)だよ。
地図の上方向は「真北」だよ。だから、方位磁石がN極を指す「磁北」とは、若干のずれがあるんだ。
北側斜線制限は北側の住宅に対して、日照を確保するための太陽の規制でもあるから、きちんと「真北」で算定するよ。
なるほど~。方位記号の形にも意味があったんだね。
では「北側斜線制限」について図で説明するよ。
まずは北側がお隣りさんの場合。
上から見てみよう。
「北側斜線制限」は、真北方向にある境界線を基準に考えるよ。上の図の赤文字の部分がそうだよ。
右図は、青い線A-A´で切って横から見た図だよ。
まず「一定の高さ」をとるよ。高さは用途地域によって異なるよ。自分の敷地(地盤面)から高さを図ろう。
「一定の高さ」から「一定の勾配」で線を引くよ。これが「北側斜線」だよ。
※用途地域によって異なります。
「北側斜線制限」は「一定の高さ」+ 「一定の勾配」だから「隣地斜線制限」と同じような考え方なんだね。
「北側斜線」の勾配は「隣地斜線」のように、境界線に対して直角に斜線を引くのではなく、真北に対して引くよ。
北側の敷地全体にかかるんだ。
これが「北側斜線」なんだね!じゃあ、この範囲で建てられるんだね。
具体的には地域によってこのようになるよ。
この4つの地域以外は「北側斜線制限」は適用しないよ。
北側が道路の場合を見てみよう。
上から見てみよう。真北方向にある道路がある場合は「道路の反対側の境界線」が基準になるよ。
A-A´で切って横から見てみよう。
まず「一定の高さ」をとるよ。
高さは用途地域によって異なるよ。
「一定の高さ」から「一定の勾配」で線を引くよ。これが「北側斜線」。
勾配の適用角度は1:1.25。
この勾配も道路に対して直角ではなく、真北に向かって引くよ。
これが「北側斜線」なんだね!
道路の反対側の境界線から計測するので、より高く建てられるね。
具体的には地域によってこのようになるよ。
この4つの地域以外は「北側斜線制限」は適用しないよ。
北側斜線の影響で、マンションには北向きに段々畑のようになったルーフバルコニーが多いんだね。
北向きの部屋は人気がないから、広いルーフバルコニー付きにして北側斜線制限をいかした工夫をしてるんだよ。
あれ?「道路斜線」制限もあったよね?
その場合はどちらで建物の高さは決まるの?
道路斜線の方が厳しい場合は、道路斜線制限に合わせよう。
幅員8m以上の広い道路の場合、北側斜線はほとんど影響しないこともあるよ。
※3Dアーキデザイナーなら、真北の設定も簡単に!戸建てから高層ビルまでプランニングできます。
ここまでが、基本的な「北側斜線」の考え方だよ。
もっと知りたい人は、応用編も見てね。
日当たりのいい南側の庭を広く取りたいから、北側ギリギリに家を寄せて建ててみよう!