出版社向けのシステムを開発・販売している「出版技研株式会社」。
代表の中間様は、出版社に勤務していた頃に社内のシステムを開発。
そのノウハウを活かして独立され、すでに業界では20年以上のキャリアをお持ちということである。
出版社が多い界隈にある、営業拠点の事務所をお邪魔した。
がっしりとした体格の中間様。
丁寧な話し方でわかりやすくご説明いただいた。
「照れくさいですね。こういう取材は初めてなんです」とおっしゃった写真撮影
「出版事業は商品の単価が安く、扱う種類や数は非常に多いので、その情報の管理にシステム化は必要不可欠です。ただ社内にシステム部門を持っておられるところはほとんどありません。一般的なパッケージソフトで部門ごとに管理されているところや、紙の処理でのマンパワーに頼っているところもまだまだ多いです」
製品は、基本部分は開発してあり、顧客ごとに異なる部分の変更や追加をするセミオーダーの販売方法をとっている。
特長をお伺いすると、
「出版社独特の業務を知り尽くした提案ができます。そしてそのための基本のシステムはすでにあって、納期やコストを抑えることができるのもうちの強みです」
と、出版業界向け一筋に、長くやってこられた自信に溢れたお顔で答えていただいた。
大きく分けると、以下のように「販売」「編集」「管理」の部門向けになるそうだ。
出版社向けシステム「Compas」
製品名は、使う人の「羅針盤」(コンパス)になってくれたらという意味を込めてつけたそうである。
(フランス語なので"s"はひとつ)
私たちが目にするものでは、書店の本に挟まっている電話注文用短冊を作成できる「Denchu+(デンチュウ プラス)」という製品も発売されていた
他にも電子ブック「Optis」など多数の製品がある。
特に著作者に支払う印税は微妙に違うことが多く、マンパワーによる管理は大変なので、システム化する必要性が高いそうである。
「例えば、3000部印刷してその分は先に支払うとか、3000部は印刷するが半分のみを半年後に支払い、それ以降は売上げベースにするなど、著作者や本毎に違います。
また、事典などで執筆に携わった方が400人といった場合もあります。そして著者が亡くなられた、引っ越しされた、名義が変わられたなど、さまざまなことに対応できるシステムが必要です」
ソフトウェアでもロイヤリティの管理はつきものだが、出版社の印税の管理の大変さは、その比ではなさそうである。
「販売に関しても書籍は基本的に委託販売のため、店頭在庫と実際の売上げとの差し引きや、関係する税法処理など、出版の世界の特有のことに対応できていなくてはいけません」
他にも業界独特のルールをご説明いただき、「現場で困っている方を助けたい」という熱い気持ちが伝わってきた。
またサポートも重要視されている。
「サポートやヘルプデスクは大事です。それによってお客様から信頼をいただけます。また設計後の機能追加や仕様変更も、極端でなければ無償でお受けする場合もあります」
この点は、パッケージ製品でも同じように感じた。
サポートの重要性はいうに及ばず、出荷後にユーザーからの声が多いところの多少の変更や追加は、メジャーバージョンアップを待たずに行うことも、今後も必要と思った。
さて、MIFESはどのようなところで活躍しているのであろう。
「MIFESはDOSの頃から使用しており、その正確さに惚れています。一貫して、業務の重要な編集ではMIFESを利用しています」
実は一時期MIFESではない他のテキストエディタを利用していて、大きなデータを扱った時に変換の漏れがあることに気がついたことがあったそうだ。同じ処理をMIFESで行ったところ、正確に変換処理がされた。
「感動しましてね。この経験から大きいファイルで、お客様からお預かりした大切なデータは、MIFESと決めました。プログラムの不具合以上に、データがおかしくなってしまうと信頼を失います。MIFESは一貫して正確無比で、大切なお客様のデータを壊したことがありません」
<MIFES8での作業画面>
システム用のデータベースファイルを置換しながら保守していく。
「MIFES8ではさらに高速になって、きびきびした動きがいいですね。大きなファイルでもストレスがまったくありません」とのこと。
また「CSV桁合わせ」機能で見やすくして項目を把握することもあるそうだ。
MIFESでの作業は、システムのデータベース部分のテキストでの保守がメインで、顧客がこれまで蓄積してきたデータを、新しいシステム用にコンバートするときに、主に【置換】機能を利用しているということである。
当然のことながら、
顧客のデータはどれもはじめて見るものばかり。形式や「クセ」は、顧客ごと、業務ごとにそれぞれ違っているので、テキストエディタでそれを把握、確認しながら、何回もの手数を踏んで処理しているということであるようだ。
「長年使われたデータには、やはりどうしても電子的な「キズ」がありますし、必ずと言っていいほど「特例」もあります。実際に目に見えない問題を抱えていることが多いので、ルーチンの処理ではなく、MIFESで開いて確認しながら、ひとつひとつ変換していくという作業をします。
正規表現や複数置換、マクロも知っていますが、あまり使いません。
ひとつひとつ変換することで、問題を見つけられます。自分の考えのミスをMIFESが教えてくれることもあります」
パソコンでの実際の作業も見せていただいたが、シンプルなデスクトップの中にシンプルなMIFESがあった。「他のアプリケーションは起動していない状態で、MIFESもできるだけ初期状態で作業をします。
道具はシンプルで頑丈なものが一番です」
「今、絶対の安心感の中で利用していて頼りになる存在で、MIFESでなければ怖くて顧客のデータを扱えません。信頼性の面で、MIFES以外を使用することは一切ありません」
というありがたい言葉を頂戴した。
最後にお伺いしたMIFESに望むことも、新機能より、「正確さを失わないでほしい」ということであった。
今後も、MIFESで安心して作業していただければ、うれしい限りである。取材時に何度もでてきた「正確無比」ということばを胸に刻み込んで、事務所を後にした。(聞き手:メガソフト・N)
MIFES8の開発キーワードは「巨大データ」「CSVファイル」「Unicode」でした。
従来の操作性はそのままに、どんなファイルでも「サクサク使えるエディタ」を目指したMIFES8を、まっすぐ評価していただき、うれしく思いました。
なお、巨大データとCSVファイルに関する情報は、下記のページにてご覧いただけます。
エディタの内部構造の全面的な改良により、ファイルの読み込み、ジャンプ、検索などを最大50倍(当社比)高速化しました。
CSV(カンマ区切りのテキスト)などデータベース形式のテキストファイルを、桁合わせ表示、ソート、単一化などを行うツールを搭載しています。