With & Afterコロナのオフィスはこうなる!

With & Afterコロナのオフィスはこうなる!

新型コロナウイルス対策として、テレワークやソーシャルディスタンスが定着化していっている今の時代。
オフィスの在り方も確実に変化しつつあります。
今回はオフィス設計のスペシャリストの方たちに、今後のオフィスについて質問してみました。

第四回

感染対策としてのサニテーション

株式会社ブレス 熊手 えり 氏
お話をお伺いしたスペシャリスト

株式会社ブレス 熊手 えり氏(東京都)
経営戦略企画室・広報 室長

サニテーションとは

サニテーションという言葉自体これまで耳なじみがなかったのですが、まずはその辺りからお聞かせください。

熊手氏:

サニテーションとは、広くは衛生管理を指します。
ビル、オフィス、入室・入店の際に皆さんが行っている手指の消毒や検温もサニテーションに含まれますね。

新型コロナだけでなく、インフルエンザや風邪のウイルスも対策としては同じです。
①ウイルスを侵入させないようにして 侵入してしまったウイルスを、
②ウイルスを不活性化する
③ウイルスを排除する
の3つに限ります。

オフィスやお店の入り口で消毒したり体温チェックしているのは、①ウイルスを侵入させない のが目的ですね。②ウイルスを不活性化する、③ウイルスを排除する の部分をもう少し詳しく聞かせてください。

熊手氏:

その前に感染の仕組みについてお話させてください。

ウイルスは単体では増殖できず、ウイルスの表面にあるスパイクが細胞のレセプターに結合し、細胞に吸着・侵入することで増殖します、これが感染のしくみです。

感染のイメージ

▲ウイルス感染のしくみ


ですから、ウイルスのスパイクを破損させ、細胞のレセプタ―に結合できなくさせることができれば、ウイルスは増殖できなくなるわけです。これがウイルスの不活性化です。
また、ウイルスは単体ではなく、必ず何かしらにくっついて浮遊します。それが飛沫だったり、ホコリだったりするわけです。ですから、飛沫やホコリを除去することが大切で、それがウイルスの排除です。

COVID-19の感染様式は、当初接触感染と飛沫感染とされていたのですが、緊急事態宣言後より「換気の悪い環境でのairborne transmission(空気感染)の可能性」もあると、WHOから発表がありました。
これを受けて、弊社でも抗菌・抗ウイルス対策への期待として、コーティング施工とエアコン用高性能フィルターの依頼が大変増えています。

ウイルスの不活性化対策

なるほど、ウイルスの不活性化と排除、よくわかりました。
ではウイルスの不活性化の対策について教えてください。

熊手氏:

オフィスや商業施設において、人が振れるところに抗菌作用のあるシートが貼られているのを見たことがあると思いますが、これは抗菌シートで、ウイルスを不活性化する働きがあります。

UCBの写真

オフィスビルなどでのサニテーション対策。トイレのエアードライヤーの使用禁止やドアノブやエレベーターのボタンに抗ウイルスシートを貼るなどの対応が一般的に知られている。

本来は、手が触れるところだけでなくオフィスの壁や床・天井にもシートが貼れると良いのですが、現実的ではありません。
そこで最近増えているのが「コーティング」という手法です。

コーティングは、抗ウイルス性のある薬剤を壁・床・天井・家具類に噴射して、空間全体を抗菌するという手法です。
コーティング施工は、オフィスはもちろん、飲食店、商業施設、小・中学校、電車・バス、そして医療施設など多くの人が出入りする大型施設で実施されています。
難点があるとしたら、見た目は変わらないので、施設を利用するお客様にコーティングしていることが伝わらないことくらいでしょうか。

ブレス社のコーティング施工の様子

▲コーティング施工の様子。
上左:クリニックの受付/上右:タクシー車両/下左:電車内/下右:クリニックのトイレ

ウイルスの排除対策

ウイルスの不活性化がコーティングということは、空気中からウイルスを排除するための対策がフィルターですね。
オフィスの換気というテーマの第2回でもフィルターの清掃や高性能フィルターへの交換は効果がありと伺いました。
具体的にはどのようなフィルターがあるのでしょうか?

熊手氏:

一般に知られているものとして、以下のようなものがあります。

フィルター名称/商品 概 要 消臭
効果
殺菌
効果
抗菌
効果
活性炭フィルター 活性炭が不純物を吸着する性質を利用して、空気に含まれる有害成分や臭気を除去する。
吸着保有量に限度あり。
××
へパフィルター 主に集塵機能。圧力損失が高い。
空気清浄機やクリーンルームのメインフィルタとして用いられることが多い。
×××
ゼオライトフィルター 圧力損失が高く、エアコンの冷暖率が低下する。
ゼオライトは、ミクロ多孔性の結晶性アルミノケイ酸塩のこと。
××
B-ZONE 直接、紫外線を照射するのではなく、殺菌灯・ファンを内蔵した装置にて室内の空気を循環させながら除菌する。
オゾン発生器 不安定な状態のオゾン分子が酸素に戻ろうとするときに、雑菌や臭い物質と反応するのを利用して、脱臭・除菌を行う。
環境により許容濃度の0.1ppmを超えると危険である可能性もあると報告あり(国民生活センターより)。
光触媒フィルター 光触媒は、光(紫外線)に反応して活性化、悪臭物質や有害な化学物質を分解する。
光のない場所での効果が発揮できない。
P空気清浄機 へパで集塵機能、ナノイーで消臭タイプとプラズマクラスター(イオン)でカビ・ウィルス・消臭の2種類。
S空気清浄機 プラズマクラスター搭載。ホコリブロックレフィルター、ダブル消臭フィルター、静電へパフィルターの3段階。
D空気清浄機 プラズマイオンとストリーマーによる分解。月1回水トレーの清掃が必要。
ハイブリッド触媒フィルター ウイルス抑止力を持つ触媒によるもの。空気に反応して、抗菌、抗ウイルス、防カビ、防臭効果の他、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質を分解除去する。

▲フィルター/空気清浄製品の特性


こんなに種類があるのですね。

熊手氏:

そうなんです。オフィスやご自宅でお使いのエアコンや空調設備のフィルターをチェックして、どのフィルターが使われているかは把握しておくことが大切です。もし不安であれば、エアコンや空調設備に外付けできるフィルターもあるので、相談してみるといいと思います。
エアコンにつけるフィルタータイプは、今あるエアコンのままでできる対策なので、コスト的にも負担が大きくないことが特徴です。

今後、新型ウイルス対策として、サニテーションはどうなっていくと思われますか?

熊手氏:

新しい生活様式、これから予想されるツインデミック(新型コロナウイルス+インフルエンザ)も視野に入れた対策として、サニテーションは注目され続けていくと思います。
新型コロナ禍の今だけでなく、オフィス環境を整える一つの要素として空気の状態も考えて欲しいと思います。
そのためにも、弊社は、様々な視点から沢山の方に正しい情報をお届けすべく、専門機関の最新の情報を発信していきたいと思っています。

とても勉強になりました。貴重なお話をありがとうございました。


対アフターコロナのオススメ情報

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抗菌、後ウィルス、花粉、PM2.5などの有害物質を付着し、不活化する空気触媒AT254(254種類の菌類で試験しました)が含浸してあるハイブリッド触媒フィルターです。



3Dオフィスデザイナー
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