職業能力開発総合大学校
お話を伺った方:
職業能力開発研究学域 准教授 博士(人間科学) 伊丹 弘美先生
■導入製品
・3D マイホームデザイナーPRO10EX
・メガソフトVR ソリューションアカデミックエディション
■活用例
3Dマイホームデザイナーで作成した吹抜空間の構成要素を変化させた9種の住宅モデルをVR上に設置し、被験者に没入体験をさせて、その印象評価を基に分析し、各構成要素の影響や重要度などから最適モデルを明らかにした。
これまでの模型や映像を用いた実験では、構成要素を限定した吹抜け空間の一部を切出した画像を評価させていたが、VRでは複数の構成要素を設定した空間全体を体験でき、リアルな評価が得られると考えた。
また、9種の住宅モデルを実際に設えるには、費用面・時間面からの非現実的であり、3Dソフトで容易に作成できるVRは同様の研究において大変有効である。
▼「吹抜け」空間の印象・快適性をVRで体験中
■先生の声
空間デザインでは、人間が空間や環境から何を感じて、それらがどのように人間の行動を規定するのかを知らなければ、具体的に空間を設計できません。
また、相手が望む空間について、ニーズを反映した空間でなければ満足してもらえません。
こうしたことをVRで没入体験し、空間を味わうことができれば、理解が進むと考え導入しました。
学生自身が設計した空間を体験することで、自ら修正や改善ができることを期待しています。
特に初学者は、頭でイメージしたことを図面に反映することが難しく、エスキスから図面を作成してもディティールまでは意識されないので、VRは大変有効であると考えています。
▼3Dマイホームデザイナーで作成した「吹抜け」の実験モデルイメージ(抜粋)
1階面積と2階天井高は同条件とし、吹抜け面積/外壁窓の有無と数/吹抜部の窓や手摺の設置の組み合わせで9種類のモデル空間を用意。360°空間を体感できるので、被験者はリアルに差異を体感できる。
■学生の声
私自身VR はこの研究で初めて体験しました。
自分の作ったシンプルな空間で計画している実験が、可能かどうかが心配事でしたが、被験者のリアクションから圧迫感や解放感、窓の有無による明るさの違いなど、空間をリアルに体感していることが良くわかりました。今後の研究にもVRを取り入れていきたいと思っています。
また研究に限らず設計段階でも、VRで現実に近い空間を体験でき、空間のイメージ確認に活用できるのではないかと思います。
(取材:メガソフト・文教担当/2023年5月11日)