宮城県石巻工業高等学校
お話を伺った方:
宮城県石巻工業高等学校・建築科科長 畠山 弘幸先生
-畠山先生には、2007年ごろから3Dマイホームデザイナーを工業高校・建築科の授業にご導入いただいてきました。
どのようにご利用いただいているか、どういうところが良い点だとお考えか、ぜひお聞かせください。
1年生の導入部分では建物の形や空間を3DCGで視覚的に楽しみながら学習します。
1年生は屋根伏せもよくわかりませんが、切妻や寄棟など基本的なものを3Dで描いて見ていると、だんだん山・谷がわかるようになってくるのです。3Dはそういうところでも有効なのです。
生徒たちは、そのあと設計条件を学び、いろいろな案を考えていくわけです。
この時の図面はフリーハンドでいいのですが、中には定規を使いましょうという先生もいらっしゃる。ただそうすると生徒たちは慣れないので図面を描くことでいっぱいいっぱいになってしまいます。ですが、3Dマイホームデザイナーですととても楽しそうで、さらにしっかり考えることができているように見えます。最終的にはきれいな図面にするわけですし、3Dマイホームデザイナーなら寸法の入った図面もすぐに作れますよね。
▼石巻工業高校・建築科の授業の様子。
同校はこの部屋ともう一つのパソコン室にも3Dマイホームデザイナーを導入、合わせて64ライセンスをご利用いただいている。
2年生の自由設計ではエスキス作成に3Dマイホームデザイナーを活用します。特に後期エスキスでは建築主の要望を念頭に置き、各室の配置・つながりを考えることができますし、開口部や耐力壁のほか、主要部分の家具や住宅設備機器などを記入でき、実際の大きさや配置をイメージできますし、豊富なインテリアを色々配置して試せる点でも生徒たちは楽しく取り組んでいます。
また、エクステリアの計画も種類が豊富で庭やアプローチ、外部空間との関係を意識しながら計画することができます。
2年次では、2階建ての自由設計の学習をおこないますが屋根伏図が容易に出力できる点も、生徒たちにとっては、大変効果が大きくメリットだと考えています。
新しい製図の教科書にはプレゼンボードにきれいにまとめるという章もあって、タイトルや画像の効果的な配置についても触れています。
設計コンペもプレゼンボードで提出することが多いのですが、3Dマイホームデザイナーにはプレゼンボードのひな形があるので、こちらも便利に使わせてもらっています。
▼第42回 全国高校生建築製図コンクール(東日本建築教育研究会・主催)では、石巻工業高校の生徒が銅賞(中央)と入選(左・右)を受賞(おめでとうございます!)
※画像クリックで拡大表示します。
-ご評価いただきありがとうございます。
ところで、石巻工業高校・建築科の生徒さんたちが震災後の復興・町づくりにご協力されたと伺いました。詳しく聞かせてください。
はい。一つは、女川町竹浦北地区の街づくりのお手伝いをしました。
津波(東日本大震災)で被害を受けた女川町竹浦北地区のみなさんが、すぐ近くに街を作り直すことにされたのですが、地盤が固いなどの理由で工事が予定より遅れ始めたころ、住民の皆さんの不安解消とモチベーションアップの目的で、模型を作ることになり、弊校にその依頼が来たのです。
当初は町全体の模型を作る予定でしたが、各住宅も作ることになり、生徒たちが頑張ってくれました。
さらに、当初の計画にはなかったのですが、本校から集会所を作ることを提案して、生徒たちが3Dマイホームデザイナーで設計をさせていただきました。
▼石巻工業高校の生徒が作成した女川町竹浦北地区の模型
もう一つは、北上川河口部の河川敷にあづまやを作る計画への参加です。
その中の4基を本校の生徒たちが基本設計から実施設計、建て方まで担当しました。その時も3Dマイホームデザイナーで設計しました。
こちらの様子は地元の新聞でも取り上げられました。
(記事はこちら↓)
◆石巻かほく メディア猫の目 より
「北上川沿いにあずまや新設、年度内に4基 石巻工高生がデザイン 石巻市」
https://kahoku.news/articles/20230127khn000023.html
-石巻工業高校と生徒さんの手を通して、街の復興活動に製品をご活用いただけたこと、とてもうれしく思います。
今日は貴重なお話をありがとうございました。
(取材:メガソフト・文教担当/2023年9月13日)