島根県立出雲工業高等学校
取材した授業:建築科第3学年 CAD実習「3次元ソフトによる設計製図~木造住宅の設計~」
▲島根県立出雲工業高等学校・建築科 3年生は、1学期のはじめから3Dマイホームデザイナーで木造住宅を自由設計中、この日は外構デザインがテーマの授業でした。
島根県の3つの工業高校・建築科には、3Dマイホームデザイナーが導入されています。
今回は、そのひとつ、島根県立出雲工業高校にお邪魔して、授業の様子を見学し、担当の先生にお話を伺いました。
出雲工業高校では、建築科3年生のCAD実習の授業に3Dマイホームデザイナーを活用されています。
実習の課題「木造住宅の自由設計」では、間取り作図、インテリアデザイン、外構デザイン、プレゼン資料の作成を生徒各自が行います。
この日の授業は「外構デザイン」でした。
▼授業風景:「物干しスペースが必要なんじゃないかな?南側のこのあたりとかどう?」
先生は、生徒たちの表情や操作画面を見ながら声をかけ、プランへのアドバイスや操作説明など丁寧に指導されていました。
実習は1回2時限で実施。授業で学習した内容や感じたことをまとめたレポートをノートにまとめて、実習授業の3日後に提出させるそう。進捗状況、困っていること、プランへの考えなどを把握するのが目的です。
▼生徒さんのノートを拝借。間取りの考え方とともに、マイホームデザイナーの操作についても丁寧にまとめられていました。
5回の実習(計10時限)で生徒の皆さんは家を1軒設計し、プレゼンボードまで作成することになります。
決してたっぷりと時間があるわけではないのですが、皆さん楽しみながらもじっくり取り組んでいる様子が見て取れました。
生徒さんに質問
「3Dマイホームデザイナーを使った実習授業はいかがですか?」
・デザインするのが楽しいです。たくさん迷いますが、それも楽しいです。
・建築士になりたくてこの学校にきました。ソフトは使いやすいです。家具(3Dパーツ)がたくさんあるので、室内のデザインが楽しいです。
・今日はアプローチとポーチをどうするか悩みましたが、(デザインを)やりはじめると楽しくて止まらないです。
・ソフトは簡単で使いやすいです。すぐに使えるようになりました。
<2022年度の生徒作品>(画像クリックで拡大表示します)
3年生は年間を通して課題研究(探究学習)にも取り組みます。
地域の問題を解決する内容でテーマを設定し、年度初めから班ごとに現地を調査し、解決プランを作成、学年の最後に発表会を実施するそう。
2021年度は廃校になった小・中学校の利活用をテーマに、役所から対象の建築物の図面を取り寄せ、それを元に間取りを入力、プランニングし、プレゼンボードを作成して、発表会でプレゼンを行いました。
ここでも3Dマイホームデザイナーを活用されているそうです。
▼出雲工業高校の実習室。生徒の使うモニターの間には、教壇にある先生用のパソコン画面を表示するモニターを設置。その日学習する3Dマイホームデザイナーの機能説明もこの画面で行える。
出雲工業高校では、建築のプロを育成するためにCADや3Dソフトは重要なツールだとの考えで、早くから授業に取り入れてきました。
当初、他のソフトを導入したものの、もっと良いツールはないかと探していて3Dマイホームデザイナーに出会ったとのこと。
しばらくは、他のソフトと3Dマイホームデザイナーを両方インストールしていたそうですが、徐々に3Dマイホームデザイナーしか使わなくなり、新しいPCに入れ替えてからは、3Dマイホームデザイナーのみインストールしてご活用いただいているそうです。
「生徒の反応を見てもこれ(3Dマイホームデザイナー)は使えるなと思いました。」
担当の三吉先生は、その理由を「操作性」だとおっしゃいます。
▼授業風景:生徒の皆さんは間取り画面と3D画面を行き来しながら、頭の中のイメージを形にしていきます。
「3Dマイホームデザイナーは、外壁や内装など、その場で雰囲気が違うのを確認できるのがいいところ。そして、操作のしやすさと視覚的なわかりやすさがいいと思いました。操作性が良いということは、操作に気を取られることなく、生徒自身がいろいろと検討できるということだからです。これは、先生方ご自身が使ってみられると一番わかると思います。」
「本校の建築科では1年生でCADを学習するのですが(下表参照)、そのあと2年生でマイホームデザイナーに触れると途端に楽しそうになります。(笑)」
とおっしゃっていました。
▼お話を伺った出雲工業高校・建築科 三吉先生
「大学でも建築は学べますが、工業高校で早い時期に少人数で建築を学べることは将来的にも大きなメリット。きめ細かい実習ができるのが専門高校のよいところだと思います。建築の道を目指すことを決めているなら、工業高校で学ぶことをお勧めしたいですね。」
出雲工業高校の建築科では、1年生からCADの実習授業を行っており、建築CAD検定3級合格を目指します。
2年生では、建築技術の基礎的・基本的な知識と技術を学び、同時に建築CADについても学びます。
全員同じ間取り図を入力し、3Dでイメージを確認、プレゼンボードを作り、プランニングの手法を身に付けます。
このときにも3Dマイホームデザイナーを活用されていますが、これは同時に、3年生の自由設計の実習に向けた3Dマイホームデザイナーの操作学習も兼ねているそうです。
三吉先生、生徒の皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
(取材:メガソフト・広報室/2022年10月3日)