ミュージックCDデザイナー ユーザーズ倶楽部
   
 

   自動調整と手動調整とは?        

  レベル調整には、前回紹介した「自動調整」と「手動調整」の2つの機能があります。
  基本となるのは、自動調整ですが、実は「オリジナルCDをもう一段レベルアップしたい!!」というユーザーにとって重要となるのは、手動調整機能です。
  自動調整機能は、選択した曲の中で音量を比較し、自動的に調整がなされます。対して手動調整は、文字通り音量を手動で調整する機能となっています。逆を言えば、自動調整機能では、指定した曲の音量の差しか合わせることはできません。
  複数のCDの音量を合わせたり、音楽CDでよく使われる“−13dB”のように、基準となるレベルを設定する場合には、手動調整による操作が必要です。
  また、レベル調整で1曲のみを選択した場合は、手動調整しか使うことはできません。自動調整は複数の曲の音量を比較して調整を行なうためです。


   手動調整の操作方法        

  手動調整の場合の操作方法は、途中までの操作は自動調整と共通になっています。そのため、までの操作方法は省略します。
 
指定したトラックのピークレベル(最大音量)を設定します。  
  手動調整欄の中央にある数値は、現在の設定を表示しています。  
  初期設定となっている「0dB」は、指定したトラックのピークレベルが0dB(デジタル録音の最大レベル)となる設定です。  
  数値はスライダーを左に調整すると小さくなり、スライダーを右に調整すると大きくなります。

  なお、ここでのピークレベル設定は、絶対値表示となっています。つまり、出力結果のピークレベルにしたい数値をそのまま設定すればOKです。  
  補正前のトラックに対する補正量は自動的に計算されますので、元のレベルをユーザーが知っている必要はありません。

初期状態は0dBに設定されている

  また、前回紹介したの手順で1つのトラックのみを選択した場合は、このウィンドウは手動調整のみが使える状態となります。その場合、このウィンドウは以下のように表示されます。

1トラックのみを選択した場合は、手動調整のみが可能となる


[処理実行]ボタンをクリックすると、処理が開始されます。
 

   手動調整の基本となるのは、ビット加減算        

  手動調整の音量調整には、デジタルボリュームが使われています。これは、ピークレベルを基準としたビット加算/減算でおこなっています。
  こうした方式を採用しているため、ユーザーの意志で設定したいレベルがある場合は、そのままの数値に調整すればOKとなっています。
  たとえば、日本のCDで一般的な「−13dB」を基準レベルとする場合は、中央の数字が−13.0dBを示すように設定を行なえばOKです。ミュージックCDデザイナー3側で自動的にピークレベルを基準とした演算がなされ、ピークレベルが−13dBとなるように設定されます。

−13dBの設定ならばこれでOK

 また、ピークレベルが−13dBで録音されていることが分かっているCDを0dBに調整したい場合などは、0dBの位置に設定して実行すれば、自動的にピークレベルが0dBに調整されます。

   手動調整では音割れに注意        

  デジタル録音された楽曲は、原理上、最大の録音レベルが決められています。これは、0dBとして表記されるものです。
  この状態は、デジタルデータ上において“限界の音量”(波形でいうところの“フルスイング状態”)を示すものです。ですから、ピークレベルが0dBになっている箇所のデータに対して音量を少しでも大きくしてしまうと、一種の演算エラーとなり、音が割れたように聞こえてしまいます。
  そのため、デジタルデータに対してはレベル調整を0dB以上に設定しないようにしてください。
  では、なぜ0dB以上に設定可能となっているのでしょうか? これはピークレベル部分の音割れが気にならない場合など、非常に限られた場合において使うために搭載された機能です。
  なお、自動調整では音割れが発生しないように0dB以下に調整するため、この問題は発生しません。


   積極的に活用して、気持ちよく聞けるCDを作ろう        

  一見わかりにくい操作のような手動レベル調整ですが、デジタル録音レベルの知識があり、デジタル・ゼロを基準とした絶対値であることを理解していると、操作は非常に簡単になります。
  複数のCDの音量を揃えたり、市販のCDと音量を揃えるといった目的に対しては必須となる操作ですから、積極的に使って気持ちよく聴けるCDを作りたいものです。

(ハッシー)

 
戻る