CDなどから曲を取り込んでみたら、自分の思っていたような音質ではなかった。あるいは、音楽CDにするときにバスドラムをもっと目立たせたい。そんなときに便利なのが、グラフィックイコライザーです。
今回と次回の2回に分けて、グラフィックイコライザーの使い方を紹介しましょう。
グラフィックイコライザーとは、入力されたオーディオ信号をいくつかの周波数帯域ごとに分割して、ボリューム(スライダー)で帯域ごとにレベルを増減して周波数特性をコントロールする機械です。グラフィックイコライザーのフロントパネルにボリュームのスライダーがズラッと並び、周波数特性を視覚的に確認できるので「グラフィック〜」と言われるようになりました。
元々はレコーディングスタジオで使われるハードウェアとして生まれたものですが、プレイヤーソフトやオーディオ編集ソフト、ミュージックCDデザイナー3のイコライザー機能では、この処理をソフトウェア上で行います。
「イコライズ(平均化する)」ということからもわかるように、本来はバランスの悪い周波数帯域のレベルを下げることで音を作る(補正として使う)ものでしたが、最近はわざと特定の周波数帯域のレベルを上げることで注意を引く音を作る、といった使われ方をしたりします。
なお、レベルを下げた場合は音質の劣化は抑えられますが、レベルを上げた場合は周波数帯域が重複する意図しない音(ノイズなど)が持ち上がったり歪んだりと音質の劣化を招くことがあります。
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それでは、ミュージックCDデザイナー3でグラフィックイコライザーの効果を試してみることにしましょう。
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グラフィックイコライザーを使うには、仮想CDデッキでトラックを選択した後、[制作]タブ−[編集]タブから[イコライザー]を選択します。
[グラフィックイコライザー]ウィンドウは、11バンド(素子)のグラフィックイコライザーが用意されています。ここで試聴ボタンをクリックすると、各周波数帯域ごとの音量レベルがグラフで表示されます。 |
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それでは、250Hzのスライダーボリュームをフル(+18dB)に上げてみることにしましょう。すると、250Hzを中心とした周波数帯域が強調されている(音量レベルが上がっている)ことがわかります。 |
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250Hzのスライダーボリュームをフル(+18dB)に上げる
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これを[作成/出力]タブでWAVファイルとして保存。グラフィックイコライザーをかける前と比較してみましょう。
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グラフは、上が左チャンネル、下が右チャンネル。横軸が周波数で縦軸が経過時間を表します。
グラフィックイコライザーをかけないほうは20Hzから20KHz(人間の可聴周波数帯域)までほぼフラットになっているのに対して、250Hzの周波数帯域を増幅したほうはその帯域をピークとしてちょうど山脈のような形のグラフになっていることが確認できます。
なおミュージックCDデザイナー3のグラフィックイコライザーは、-15dBから+15dBの範囲で調整すると、音質の劣化が目立たないような設計になっています。今回は実験のためスライダーをフル(+18dB)に上げていますが、上記の範囲を越える設定を行なった場合は音が歪むなど音質の影響が大きくなるので注意しましょう。
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グラフィックイコライザーは、このような方法で特定の周波数とその周囲を増減させ、音質を作り変えることができます。つまり、グラフィックイコライザーの使い方を知っていれば、「もっときらびやかな音にしたい」「ヘヴィな演奏にしたい」「特定の楽器だけを強調したい(目立たなくしたい)」といったことが行なえるというわけです。
次回は、どうしたら好みの音質になるのか、その音質の作り方について紹介しましょう。
<木村公彦>
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