ミュージックCDデザイナー ユーザーズ倶楽部
   
 

 編集機能で重要な機能を持つ「波形グラフ」

  ミュージックCDデザイナー3の大きな特徴として、CDに納める楽曲を自在に加工するための、さまざまな編集機能があります。
  ミュージックCDデザイナー3の編集機能は、プロ用のレコーディングに使う編集用機材でよく使われる機能が基になっています。ただし、そのままでは一般ユーザーには難しい操作になってしまいますので、パソコンソフトとして適した操作性と、パソコンの画面に適した画面になるようにアレンジがなされています。
  たとえば、ほとんどの操作に対して、実際に効果が発揮される前に試聴が可能となっています。
  さて、こうした編集機能のなかでも、大きなポイントとして、特定のコマンドで表示される波形グラフが挙げられます。
  必要なところで表示されるこの波形グラフですが、さすがに他のソフトウェアなどではあまり見られるものではないため、一見するとどんなものかわかりずらいところがありますが、この表示を理解することで、より簡単に、また効率的な編集作業ができるようになります。
  今回は、この波形グラフの見方と、操作方法について見ていきましょう。

   波形グラフの表示される編集コマンドは?        

  さてまずは、どの編集コマンドで表示されるかを確認しておきましょう。 波形グラフが表示されるのは、以下の編集コマンドを使用した場合です。

●「ミュート」コマンド
●「無音の挿入」コマンド
●「抽出」コマンド
●「部分削除」コマンド
●「分割」コマンド

波形グラフは、これらの編集コマンドを実行した際に表示します

 

 

  また、以下の編集コマンドでは、特別な波形グラフが表示されます。

●「ミキシング」コマンド

ミキシングコマンドの波形グラフは、2つの曲に対して表示されます
 
  今回は、「ミュート」コマンドを例にして、表示されるグラフと基本操作を紹介します。

   波形グラフの見方について        

  まずは、この波形グラフがどんなデータを表しているかを見ていきましょう。
  波形グラフに限ったことではありませんが、グラフを見る際には、描かれているグラフがどんなデータを基にしているのか(=グラフの縦軸と横軸のデータが、何を表現しているのか)を知っておくことが重要です。
  これらのデータは、グラフを見る際に必要なのはもちろんですが、そのグラフがどういった意図で描かれているのかを知ることができるからです。

  さて、波形グラフでは、グラフの横軸は時間を表しています。つまり、右から左にいくほど、時間が経過していることを表しています。
  後述するように、波形グラフは拡大/縮小して表示することができますが、標準状態(もっとも縮小した状態)では、左端がトラックの開始時間を、右端がトラック終了の時間を表しています。

  対してグラフの縦軸は、音の大きさ(音圧レベル)を音量を表しています。波形の振れが大きいほど音量が大きいことを表現しています。
  ここで注意が必要な点は、中央に書かれた基本となる軸が無音状態を表しているということです。
  一般的な折れ線グラフや棒グラフでは、一番下がゼロ点になることが多いのですが、音の波形(つまり音波)は、ここで表示されている波形グラフのように、中央をゼロとしたグラフで表現されることが一般的です。

時間によって刻々と変化する、音楽信号の音の大きさ(音圧)を表現したものが波形グラフです
 

   ズームボタンの活用で、詳細な編集が可能に        

 波形グラフの基本的な操作は、後ほど紹介しますが、さきにひとつ、重要な機能について紹介しておきましょう。それは、ズームボタンによる拡大/縮小表示の機能です。というのも、非常に短い時間や、時間的に高い精度が要求されるの編集作業を行う際には、これらのボタンを活用することで非常に便利になるためです。

  [ズームアップ]ボタンをクリックすることにより、波形グラフが拡大表示されます。また、一度でも拡大している場合は、[ズームダウン]ボタンをクリックすることで、縮小表示することが可能となります。
  なお、何回拡大/縮小が可能になるかは、波形グラフを表示しているトラックの時間によって変動します。


ズームボタンは、波形グラフのウィンドウの右下に表示されています。「精細表示」のチェックボックスは、その下に表示されています


 
  ズームアップを行うことで、波形を見やすくするだけではなく、時間の指定を詳細に行うことが可能です。拡大表示をすることで、同じ秒数でも時間軸が長く表示され、その分短い時間の指定が可能となるためです。
  最大に拡大した状態で作業すると、横軸の1目盛り(*注)が100分の1秒と、非常に短い時間となります。
  この状態であれば、耳で聞こえるか聞こえないかというほど細かい精度での編集が可能になります。

*注:
画面を見やすくデザインするため、この目盛りは、実際には表示されていません。ただし、波形グラフの上にある時間軸の表示領域では、10目盛りごとに目印がつきます。なお、実際の範囲選択などの作業はこの“見えない目盛り”を単位として行ないます。


波形グラフを最大に拡大した状態では、100分の1秒単位での詳細な波形を見ることができます
 

 
 また、コマンドを実行した状態では標準的な波形が表示されていますが、ズームボタンの下方にある「精細表示」のチェックボックスにチェックをすることにより、さらに緻密に音楽波形を測定した波形を表示させることができます。

(ハッシー)

 


 
  通常表示と精細表示での、
  波形の表示方法の違いについて
 
 

  波形を可能な限り正確に表現しつつ高速な表示を行うため、100分の1秒ごとに、全体の4%程度のデータを元にして計算を行っています。本来は正確な波形表示と高速性は相反する要素ですが、こうした処理を行うことで、精度と処理時間のバランスが取れます。
  対して、精細表示をオンにした状態では、すべてのデータを含めた計算を行い、より正確な音の波形を表示します。
  こうした処理方法を採っているため、精細表示のオフとオンでは、波形の詳細な部分では差が出ますが、全体的な波形の傾向が大きく変動することはありません。そのため精細表示は、本当に詳細なグラフが必要な場合に使用するための機能といえます。

  精細表示のチェックボックスをオンにすることで、波形を表示する際のポイントとなる小さな振幅部分や最大の振幅となる部分の位置を正確に把握し、最適な処理を行うことができます。
  小さな振幅部分は、音が小さく、微少なノイズのあることが多い箇所です。
  最大の振幅となる部分は、「ピークレベル」ともいい、大きな音が収録されています。信号の状態などによっては、音割れが起こる可能性がある箇所です。

 

 

 
戻る