ここまで読まれて、「CD−RWの方が使い勝手がいいのではないか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。そう思われるのも、ある意味当然です。CD−RWとは、CD−Rの「再記録ができない」という使いにくい点を改良した新しいメディアの規格なのです。
ただし、だからといって、CD−RWがCD−Rより完全に勝っているか――というと 、そうではありません。CD−RWは技術的に複雑で、なおかつ登場してから日が浅いため、ある程度の問題を抱えています。代表的なものとしては、以下のとおりです。
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専用のドライブが必要になります
前回の話で触れたように、CDはプレーヤーの中にある「ピックアップ」と呼ばれる箇所よりレーザー光線を発射して、盤面から跳ね返ってきた光の信号を検出しデータを読みとります。
この際に重要なのが、「どれだけの光を読みとることができるかどうか」という点です。メディア側の目安となるのが、「反射率」という性能の指標です。これは文字通り、一定の強さの光を当てたときに、どれだけの強さの光が反射するのか――ということを示した要素です。
市販のCD(工場で大量生産された音楽CDや、CD−ROMを指します)に比べた場合、CD−Rメディアはほぼ同じ程度の反射率(ただし、若干弱いです)ですが、CD−RWメディアの場合は、CD−Rと比べても反射率が低くなってしまいます。
CD−Rメディアも、一部の音楽用CDプレーヤー(とくに古い製品)では再生できない場合があります。これは主に、この反射率の問題によるものです。 |
CD−RWは反射率が低いため、ピックアップ側のレーザー光線の出力を強く(つまり、光を強く)しなければ読み書きすることができません。つまり、CD−RWに対応したドライブでしか使うことができないのです。
最近のCD−Rドライブは、ほとんどが「CD−R/RWドライブ」と呼ばれる兼用タイプの製品となっていますが、2年ほど前まで発売されていたCD−R専用ドライブでは、CD−RWのメディアを使うことはできません。
また同じ理由から、CD−ROMドライブも、CD−RWが登場する以前に作られた(具体的には、1997年の前半程度まで)製品では、CD−RWメディアを読みとることのできない製品があります。
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RICOH MP7125A CD−R/RWドライブ |
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音楽用CDプレーヤーでは基本的に使えません
音楽用CDプレーヤーでは、基本的にCD−RWメディアを再生することができません。この理由も、さきほど紹介した反射率によるものです。
ただし例外として、最近登場してきた、音楽用のCD−R/RWレコーダーを使う場合と、CD−RW対応のCDプレーヤーでは再生ができます。
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CD−Rに比べ、記録速度が制限されます
CD−RWは再記録が可能なように設計されているため、記録の方式はCD−Rと比べても複雑なものとなっています。そのため、2001年5月時点では最高でも10倍速までの速度まででしか記録ができません。
CD−Rは最高で20倍速というドライブが発売されていますので、理論上では2分の1になってしまいます。
また、再生の速度も、CD−Rに比べると遅くなってしまうドライブが多くあります。
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メディアの価格が高価です
ある意味で、CD−RWの最大の欠点といえるのがここです。さきほど紹介したように、CD−RWのメディアはCD−Rメディアと比べて、複雑な技術が使われています。
そのため、記録メディアも非常に高価になってしまいます。2001年4月の時点では、CD−Rメディアは1枚100円を切っている製品もありますが、CD−RWメディアは300円程度となってしまいます。
また、一般的な使用方法ではほとんど問題にはなりませんが、記録された情報の寿命(いわゆる“メディアの耐久性”と呼ばれるものです)も、CD−Rと比べて短かくなってしまいます。CD−Rが理論上で最高100年程度とされているのに対し、CD−RWは10年程度とされています。 |
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日立マクセル CD-R AUDIO PRO
X(上)/ CD-RW AUDIO MQシリーズ(下) |
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こうした注意点はありますが、CD−RWは使い方によっては、とても便利なものとなります。
次回はさらに踏み込んで、音楽用CDメディアに関して知っておくと得する情報や、メディアを扱ううえでの注意点について紹介します。
(ハッシー)
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