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物流コンサルタントが解説

【後編】物流倉庫のロボティクスによる自動化

初めまして物流倉庫内の自動化ソリューションを提供させていただいている株式会社フジテックスの清水雅斗と申します。

前編の物流コンサルタント小橋重信さんのコラムでは「物流倉庫のレイアウト攻略は、作業の流れを含めた作業導線が重要」というお話でした。
その話からバトンを受け取りまして、後編では物流倉庫内のピッキング・搬送工程でどのような自動化が図れるのかをご紹介させていただきます。

ー 人手不足という社会的な課題に立ち向かう

まず、物流倉庫内で行われている荷降ろし、検品、ピッキング、出荷などの作業の多くは人海戦術によって運用されていることがとても多いのが現状です。

しかし、人手不足という社会的な課題。それに伴い物流業の人材採用は難しく、人件費は年々高騰しています。
それに反して、EC市場はとても大きく成長しており荷物量は増えています。

さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響によってEC利用は急速に増えている状況です。このような「荷物は増えるが、人は足りない」という大きな課題に対して解決策としてロボットなどのテクノロジーによる自動化が今求められています。

ー 物流の工程ごとの自動化・省人化ソリューション紹介

物流業務には各工程、フローが細分化されており、自動化を検討する場合でも、どこから手を付けてよいのか、どこの作業がボトルネックになっているのか、分からないという方も多いかと思います。

私もさまざまな業界、業種のお客様の現場を拝見させていただき、同じ荷物を扱っていても作業工程や方法・規模などにより、自動化が向いていない場合などがあります。一見、属人的で非効率に見える作業も、自動化をすると生産性が落ちてしまう可能性もあります。

物流業務は倉庫の規模が小さい場合は自動化よりも属人的な作業は効率性が高く、倉庫の規模が大きければ属人的な運用は難しくなるため、自動化による効果は得られやすいと考えます。

そこで今回は、物流の工程ごとに分けた自動化設備のご紹介と、その導入効果、導入効果が得られやすい物流倉庫の規模感をまとめました。
あくまで一般的な、現場に落とし込んだ場合の効果や費用感になりますので、参考にしていただければ幸いです。

【ピッキング】

ピッキング業務は、出荷する商品の保管場所を探し歩き、商品を取り出し、梱包エリアに運ぶなどの流れが一般的ですが、商品の種類や荷姿や出荷まで工程などによりピッキングもさまざまな方法があります。
このピッキングですが、作業時間の内、6割が倉庫内を歩いている時間と言われています。

倉庫規模によっては一日の歩行距離が10kmを超えるところもあるそうで、この「倉庫内を歩く」「保管場所を探す」という作業を自動化するのが自動棚搬送ロボット(GTP)です。

自動棚搬送ロボット(GTP)

▲自動棚搬送ロボット(GTP)

日本国内での導入実績としては中国メーカーのギークプラス社 EVEというロボットを導入している企業が多くあります。
この自動棚搬送ロボット(GTP)「歩いて取りに行く」という行為をロボットが代わりに行うもので、出荷する商品を作業者のところまでロボットが棚ごと持ってきてくれるというもの。
自動棚搬送ロボット(GTP)は規模感として500坪以上で、作業者が20人以上の物流拠点の導入で効果が得られると考えております。

GTPタイプのレイアウトについては、棚サイズがW880×D880×H2400mmとなり、その棚をロボットが持ち上げて運ぶため、通路幅が1000mm必要になります。
ロボットの動きを最大限効率化させるため、基本通路は一方通行で設計し、メインの通路を幅2000mmにてすれ違えるように設計する必要があります。
柱の位置や充電ステーションをどこに設置するのか、また防火区画を跨ぐ場合の防火シャッターとの連携など、レイアウト設計にはノウハウが必要になります。

▲自動棚搬送ロボット(GTP)が通る際に必要な最小通路幅

目的入出荷作業の歩行を0にする
生産性30~40%UP
対象EC、BtoCで多品種小ロット
業種アパレル、化粧品、日雑品、靴等
規模500坪、20人以上の現場
最小通路幅2000mm
費用感1.5億~/プロジェクト
導入効果例25人⇒6人(6000万/年 削減)

協働型自律搬送ロボット(AMR)

▲自動棚搬送ロボット(GTP)

自動棚搬送ロボットと比較して、小規模から導入しやすいのがAMRと呼ばれる協働型自律搬送ロボットです。
その名の通り、人とロボットが協働するタイプのロボットと考えてもらうとよいでしょう。

協働型自律搬送ロボットは画像認識技術やレーザーSLAMなどにより短時間で倉庫内のレイアウトをマッピング。工事が不要で既存のレイアウトのまま導入できるのがメリットです。
200kgまで搬送できるタイプのX200という機種であれば最小通路幅が1800mm、500kgまで搬送できるX500というタイプであれば最小通路幅が3200mm必要になります。

画像認識技術で自立搬送するロボットはまさしく人と同じように、棚やパレット、段ボールをそれぞれ認識し、動いているため人と共存、協働していても違和感がなく、人の歩行作業をサポートします。

▲協働型自律搬送ロボット(AMR)が通る際に必要な最小通路幅 ※200kgまで搬送できるタイプの場合

目的歩行動線の削減、ピッキング作業の効率化
生産性1台につき0.7~1人分の生産性
対象BtoB、BtoC、多品種多ロット
業種問わず
規模300坪、15人以上の現場
最小通路幅200kgまで搬送できるタイプなら1800mm、500kgまで搬送できるタイプなら3200mm
※機種によって異なります
費用感1台@500~700万
導入効果例23人⇒11人(約4,500万/年 削減)

私たちフジテックスはロボットの導入レイアウトを検討する際など、「物流倉庫3D」を使用し、より具体的なイメージがしやすい形で、社内プレゼンや、現場の運用イメージをお伝えしています。

▲「物流倉庫3D」で作成したイメージ

執筆者プロフィール

株式会社フジテックス ロジスティクスカンパニー

清水 雅斗氏