導入事例

事故再現動画を交通事故の解決と事故防止活動に

静岡県警察本部
交通部 交通指導課 交通鑑識係

静岡県警察本部 交通部 交通指導課 交通鑑識係では、2023年1月から交通事故再現4D ムービー&レポートを導入。
交通事故の状況動画を交通事故再現4D ムービー&レポートで再現し、交通事故状況の参考資料や警察内での教養のためにご活用いただいています。

▼交通事故再現4D ムービー&レポートで作成した十字路の事故イメージ動画(提供:静岡県警)

導入メリット
  • 事故の状況を立体で表現できるので誰にでもわかりやすく伝わる
  • 事故の関係者等をいたずらに刺激することなく状況等の説明ができる
  • 同じ状況を視点を変えて動画にすることで、歩行者・運転者の別無く、あらゆる年代に広く活用できる

平面図での状況図はわかりにくい

- 「鑑識」と聞くと、事故現場でタイヤ痕や落下物などを状況証拠にしたり、それらから分析をされたりをイメージしますが、事故現場の3Dイメージが必要ということでしょうか?

静岡県警:

そうなんです。
事故の前後を含めた車の挙動、つまり、こんな風に動いてこうぶつかって…という事故解析の結果は、図面化する必要があるので、現場の見取り図が必要となります。

重大事故の現場はレーザーでスキャンして3Dの点群データで記録はしているのですが、これまで実際にわれわれが使ってきたのは現場の2Dの見取り図で、3Dでは表現できていませんでした。

ドライブレコーダーの普及に伴って事故の状況動画が残っている場合ももちろんありますが、事故の衝撃で壊れてしまったり、動画保存用のカードが入っておらず録画できていなかったり、ひき逃げ犯などは自分で廃棄してしまっていたりと、ドライブレコーダーの動画がないことも多々あります。そういう場合は私たち交通鑑識係が解析して挙動を推定します。
ただ、それを書き込むのも以前は平面でした。

▼点群データをもとに作図した現場の見取り図のイメージ(提供:静岡県警)

点群データをもとに作図した現場の見取り図のイメージ(提供:静岡県警)

説明資料として3DイメージとCG動画が有効

静岡県警:

ですが、その図を見て、事故当事者や関係者が状況をイメージできるかというと難しいのです。
そこで、「交通事故再現4D ムービー&レポート」を使うと、それを立体で表現できるし、動画もつくれます。そうすると、見た人がわかりやすいのではと考えたのです。

▼前述の見取り図を下絵にして交通事故再現4D ムービー&レポートで作成した3Dイメージと動画。(メガソフトが作成)

点群データをもとに作図した現場の見取り図から書き起こし-1  点群データをもとに作図した現場の見取り図から書き起こし-2

位置づけとしては解析結果を補足するための説明資料ではありますが、こういうイメージ動画が必要だと考えていました。
また、「交通事故再現4D ムービー&レポート」で再現動画や画像を作成することには、関係者の精神的な負担を和らげるという狙いもあるのです。

▼同乗者のケガの様子を色分けしてみると、衝突の影響が見えてくることもあるそう。
(参考に見せていただいたものをもとに、メガソフトが作成)

同乗者のケガの様子を色分けしてみると、衝突の影響が見えてくる

教養資料として動画を作成

- 使い始めてから動画を作成できるまで、どのくらいかかりましたか?

静岡県警:

2、3日で図面が描けるようになって、2週間くらいで動画出力までできるようになったと思います。
直感的に使えて操作は難しくないですし、車の3D素材もたくさん収録されているので、便利だと思いました。
事故には直接関係ないですが、リアルさを出すために周辺の建物や状況を作りこむこともできますし、使っていて楽しいのもいいと思います。

こちらは、ソフトの操作の勉強も兼ねて作ってみた動画です。
公務執行妨害でけがをするパターンのひとつに、車に引きずられるということがあるのですが、こういう事故防止の教養をするときにも有効です。
また、交通事故のイメージは、視点を切り替えることで、ドライバーに対しての教養にも使えますし、歩行者に対しての教養にも使えます。
例えば、高齢者の方にも「夜間は外に出たら危ないですよ」というのを伝えやすくなると思います。

今後、警察内だけでなく交通安全の場でもイメージ画像や動画を使っていきたいと考えています。

▼事故防止の為の警察内教養用動画のサンプル(提供:静岡県警)

▼夜間の横断歩道での事故のイメージ動画(提供:静岡県警)

- どちらの動画も危険だということがリアルに伝わってきて、思わず声が出てしまいました。
開発当初から警察業務にお役立ていただけるのでは、と思っていましたが、今回お話を伺って確信できました。
本日は貴重なお話をありがとうございました。